こんにちは!高松市の高田歯科口腔外科医院の高田です。
歯を失ってしまい、インプラント治療を検討されている方の中には、「自分は糖尿病だから、インプラントはできないのでは…?」と不安に思われている方もいらっしゃるかもしれません。
結論から申し上げると、血糖値が良好にコントロールされていれば、糖尿病の方でもインプラント治療は可能です。しかし、糖尿病とインプラント治療には密接な関係があり、いくつかの注意点やリスクも存在します。
今回は、糖尿病をお持ちの方がインプラント治療を安全に受けるために、知っておくべきことについて詳しくお話しします。
なぜ糖尿病とインプラント治療に関係があるの?
糖尿病は、全身のさまざまな臓器に影響を与える病気です。特に、インプラント治療と関連が深いのは以下の2つの理由です。
- 免疫力の低下と感染症のリスク
血糖値が高い状態が続くと、体の免疫力が低下し、細菌感染に対する抵抗力が弱くなります。インプラント手術は、少なからず外科的な処置を伴うため、術後の感染症リスクが高まります。
インプラント周囲に細菌が感染すると、インプラント周囲炎という病気を引き起こし、最悪の場合、インプラントが抜け落ちてしまうこともあります。
- 骨の代謝機能の低下
糖尿病によって骨の代謝機能が低下すると、インプラントと顎の骨の結合がうまくいかないことがあります。インプラントは骨にしっかりと固定されて初めて機能するため、これが不十分だと治療が失敗する可能性があります。
糖尿病の方がインプラント治療を受ける前のチェックポイント
安全にインプラント治療を行うために、まずはご自身の糖尿病の状態を把握することが最も重要です。以下の点を必ず確認しておきましょう。
HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)の数値: 過去1〜2ヶ月間の平均的な血糖値を表す指標です。この数値が7.0%未満に安定していることが、インプラント治療の目安となります。
血糖値のコントロール状況: 治療を受けている内科の主治医に、現在の血糖コントロール状況について確認してもらいましょう。
合併症の有無: 糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害などの合併症があるかどうかを確認します。これらの合併症があると、インプラント治療が難しくなる場合があります。
治療を安全に進めるために必要なこと
糖尿病をお持ちの方がインプラント治療を安全に受けるためには、歯科医師と患者さん、そして内科医との連携が欠かせません。
- 歯科医師への情報提供
初診時に、必ず歯科医師に以下の情報を正確に伝えましょう。
・糖尿病を患っていること
・糖尿病歴(いつから治療しているか)
・治療内容(内服薬やインスリン注射の有無)
・現在のHbA1cの数値
・合併症の有無
この情報をもとに、歯科医師は患者さんの状態を正確に把握し、治療が可能かどうかを判断します。
- 内科医との連携
インプラント治療を開始する前に、歯科医師が患者さんの内科の主治医に病状照会を行うことがあります。これにより、インプラント治療が患者さんの全身の健康に悪影響を与えないか、手術前に服用を一時中断すべき薬がないかなどを確認します。
患者さんご自身も、歯科治療を受ける予定があることを主治医に伝え、事前に相談しておくことをお勧めします。
- 治療中の血糖コントロール
インプラント治療期間中は、ストレスや体調の変化によって血糖値が変動することがあります。治療期間中も血糖値を安定させるよう、日頃から食事や運動、内服薬の管理をしっかり行いましょう。
治療後のメンテナンスが成功のカギ
インプラント治療は、手術して終わりではありません。特に糖尿病をお持ちの方は、インプラントを長持ちさせるためのメンテナンスが非常に重要になります。
糖尿病は、歯周病と同じく、インプラント周囲炎のリスクを高める要因です。
毎日の丁寧な歯磨き: 毎食後の丁寧なブラッシングで、インプラント周囲のプラークを徹底的に除去しましょう。
定期検診: 3〜4ヶ月に一度の定期検診で、歯科衛生士による専門的なクリーニングを受け、インプラントの状態をチェックしてもらいましょう。
まとめ
糖尿病をお持ちの方でも、血糖コントロールが良好であれば、インプラント治療は可能です。
大切なのは、治療前にしっかりと病状を把握し、歯科医師と内科医が密に連携して治療計画を立てること。そして、治療後も、ご自身による日々のケアと、歯科医院での定期的なメンテナンスを継続することです。
当院では、患者さんの全身の状態を考慮した上で、安全なインプラント治療をご提供しています。糖尿病をお持ちでインプラント治療をご検討されている方は、まずはお気軽にご相談ください。
皆様のお口の健康、そして全身の健康をサポートできるよう、全力でサポートさせていただきます。